フリーランスの人だけで集まった工房です
はい、そうです。15人から20人くらいの舞台美術と舞台監督で使っています。舞台美術は舞台のセットを考えて作って舞台にセットする仕事です。舞台監督は工事現場でいう現場監督のような人です。演出家からの要望をどういう風に実現化して劇場との折り合いをつけるかということをしています。
ここではそこで必要なものを作るために、資材を置いたり実際に作ったりしています。ここを使っている人たちはフリーランスの人ばかりなのでこの工房は会社ではなく、みんなが好きなように使う場所です。
あとこの工房は若手が中心となってやるというのがメインなので、ここで作っている人は20代30代の若手の方が多いです。もちろんベテランの方もいますが現場に行っていることが多いのであまり使っていませんね。
1日3,000円です。他の工房は1日15,000円するところもあるんですよ。使っていい道具は共同で使えます。ただベテランになればなるほど工房使用料が高くなるんです。チャレンジ枠というのもあって、コネもないし技術もない、でも工房を使いたいです、という人達にも工房を貸し出しているんです。そういう方は無料で使えます。ただ立ち合いの人がいないと使えないんです。ひとりだと危ないので。仕事が増えてひとりで自由に使いたくなる時が来たら使用料を払って使う、という風になっていきます。
舞台美術という職業はフリーランスの方が多い職業なんですか?
美術会社や舞台監督会社もあるのでそういうわけではないと思います。ただ、日本には小劇場の文化がありますので、その仕事であればフリーランスの方が動きやすかったり融通が利きやすいということはありますね。
フリーランスの場合、どうやってお仕事をもらうんですか?
舞台美術の知り合いから知り合いへ「この日空いてない?」という感じで連絡がきます。どんどん紹介していって話がきます。
大きなセットは一点物!?
その都度作りますが、中には残しておくものもあります。
捨ててしまったセットの舞台で再演があったらまた作るんですか…?
作ります!再演が元々決まっていたら保管しておくのですが、急にまたやるんだけどと連絡がきたらもう1回作ります。工房の中には「これ作るの3回目なんだよね」って言っている人もいました(笑)
作るときはどう表現するかは自分で考えて作るのですか?
まずは脚本を読んでシーンをイメージします。今はリビングのシーンだなとか公園のシーンだなとか、シーンが必ずあるのでシーンに対応できるセットを作ろう、とかですね。そして演出家さんと打ち合わせをします。こういう箱がほしい、こういう空間がほしいなどの意見を聞きスケッチを描きます。それを演出家さんに見せてOKが出たら図面を引きます。さらに道具帳(舞台美術のデザイン画)を引き、そこからようやく作り始めます。
台本をもとに演出家と打ち合せしデザインと決める
図面・道具帳におこして、必要な備品をリストアップ
襖の敷居と鴨居を製作中
劇場で仕込み完成
これだけ大きなものを作るのは女性では大変そうですね…!女性はどのくらいいるんですか?
この工房はほぼ女性です。今あっちで作業している人はみんな女性です。