今でも鮮明に覚えている箱庭との出会い
本日はお忙しいところTEAMキモエの取材に応じてくださり、ありがとうございます。
それでは杉原先生、どうぞよろしくお願いいたします。
小さい頃、母に連れらえれて陶器を売っているお店に行ったとき初めて箱庭を見ました。
その光景は今でも鮮明に覚えています。
それが盆景との初めての出会いでした。
盆景の起源は「箱庭」といわれています。「箱庭」って知ってますか?
当時、庭や庭園を持つ家はたいそうな金持ちくらいで、一般人が庭を持つなど夢の夢だったんです。
そこで「箱庭」的なものが生まれたんでしょうね。
江戸時代の中期になると、箱庭はかなり人気があり、てんびん棒でかついで売り歩かれていたそうですよ。
しかし残念ながら箱庭の画像や資料はほんとんど残されていないんです。
(右図参照。国立国会図書館ウェブサイトより)
そんなに古くからあったんですね!
そしてとても人気があったんですね!驚きました。
盆景を始めたきっかけは何ですか?
日本にはいろんな伝統芸術がありますよね。
そういうもの全般に興味を持ち始めたんです。
なかでも「箱庭」は別格で一目惚れでした。
でも箱庭は自然物で作っているので、一週間もすれば枯れて無くなってしまう。
作品を後世の人に見せることができないんです。
絵画も彫刻も建築も芸術も残るじゃないですか。
だから盆景も形として残る姿で作りたかったんです。
自然物で作るのではない残る盆景です。古くからあって今後も無くならないもの。
そして今あるものではなく新しい芸術ができないだろうかと考えました。
そこから盆景・3Dアートの発想が生まれました。
無念無想で作品を作る!
なるほど、後世に残せる盆景という発想から生まれたんですね。
ところで盆景ってどんなものなんですか?
盆景(ぼんけい)は、今から1400年前日本で誕生した立体造形芸術、3Dアートです。
盆景はお盆の上に自然の風景を立体的に表現するもので、遠近法を取り入れて更に奥行きを与えています。
あたかもその場で実際の風景を見るようなイメージです。
世界には美しい景色が各所にありますよね。
盆景は誰でも簡単にできて、作る楽しさと鑑賞する喜びを味わえる趣味であり芸術です。
実際にある風景や心の中の情景を立体的に具現化するんです。だからテーマは無限大なんですよ(笑)。
壮大なテーマが世界に、宇宙に広がっているんですね!すごいパワーを感じます。
これまでの作品やお仕事で心に残っていることはありますか?
初めて制作した固形(乾燥)盆景が、東京都の美術展で初入選したことです。これは嬉しかった!
あと、長野の諏訪湖博物館に展示できたことですね。
盆景の歴史、日本の景観、世界の景観、幻想的な盆景、近未来盆景のすべてを、大きな場所で初めて公開できたことです。
ガラス張りの素晴らしいスペースで、国宝級の作品を飾るところに並んだんです。それはそれはきれいに見えましたよ(笑)