みんなで成長するような場所を作れた
初めてのことでしたので、賑わうかどうかはわかりませんでした。
ランチの弁当ひとつとっても、何個発注したらいいかすらわからなくて…。自信がなく少なめに用意しました。そしたら一瞬でなくなりました(笑)
はい、誤算も含め、天気にもめぐまれありがたいことに盛り上がったんです。
私の集大成的な仕事でした。自分たちだけで作るのではなく、みんなでやりたいと思ったことを手伝い、それが形になる。
さらにすごいことをやりたい!と思うきっかけを作る。みんなで成長するような場所を作れたということが、とてもうれしかったです。
『公園のがっこう』市民が公園でやってみたいことを企画するワークショップ
自信がついたのは現場でボコボコにされたから
私がまだこの仕事に就いたばかりの20代の頃、世田谷で市民活動を行っている人の話し合いに参加したんです。
当時は知識も技術もなかったのでボコボコにされました(笑)。市民活動団体の方々は言いたいことがあって来ていますから、いろいろな意見が出てきます。
そういう時、どう対応して良いのか掴めなかったんです。おかげさまでそういう人たちに鍛えられ、参加されている人の想いが理解できるようになり、今ではどんな話し合いでもまとめられる自信がつきました。
ボコボコのおかげですね!お世話になったすばらしい人との出会いがきっかけで、今では世田谷に住んでいます(笑)。世田谷区民は私の先生ですね。
この仕事は終わりと答えがない仕事
基本は「ワークショップ」だと思っています。
ワークショップというのは説明会ではなく、来ている人たちの意見を聞き、それに対して創造的にみんなで答えを出していく場なんです。
そのワークショップでみんなを導くのが「ファシリテーター」という私の役割で、誠心誠意、地域の人たちの一人一人の気持ちに寄り添って丁寧に場をデザインし、意見を積み上げていかなければなりません。
PTAの人向けに企画づくりやファシリテーションのことなどを学ぶ研修の様子
自分のやりたい事が役に立つ
自分がやらなきゃ!と企画し、責任をもって何かをするという活動はやった方が良いと思います。
誰かにやれと言われたことではない、ということがポイントでしょうか。
ワークショップでいろんな人の意見をまとめたり、イベントを成功させることも、基本はバンドをやっていたときとあまり変わりません。
自分のやりたいことを単にやるのではなく、どうやってそれを受け手の人に伝えるか?趣旨を理解して参加していただくか?ということは教えてもらうのではなく実践で作っていく体験が今でもすごく役立っています。
まちづくりに関わろう!
今の学生はすごくまじめだと思います。学校の外で好き勝手やっていた私と違って、勉強や就活をちゃんとやる時代になった。
すなわち真面目に向き合わなければならない時代になったのかなと感じます。今の学生さんの中には、ちゃんと老後まで生きていけるんだろうか、という不安を持っている人もいると思います。
今、まちづくりの現場では定年退職しても活躍していける場所は多くあって、60歳以上の方がたくさんボランティアで参加してくれています。
でも、私たちや学生さんが60歳になるころに、同じ未来が待っているかというとそうとは限らない。
定年と言われる年齢がどんどん引き上げられるでしょうし、生涯お金を稼がないと生きていけないということになるかもしれません。
だからこそもっと長い将来を考えていかなければならないと思いますし、考えてもいい時代になると思います。
会社で働くということの次のステップで、地域に入って働くという新しいステージを自らつくっていく。
そんなことも若い世代は見据えて、まちづくりの視点も若いうちから育んでいくのがいいのではないなと思っています。
学生の頃は、就活をして卒業後にする仕事だけが仕事に見えがちですが、就職以外にも仕事はあるんじゃないかと思うんです。
そう考えるとまちづくりにはいろんな面白い入口があるので、就職以外でも関われる場所なんじゃないかなと思います。