「あーあ。花の大学生活も夢で終わるのかなあ」
その日も僕は、キャンパスのベンチで一人寂しく昼ご飯を食べていた。
僕がため息をついたとき、どこからか特徴的なだみ声が降ってきた。
「あんた、今なんて言った?」
え?
僕がそのだみ声がした方へ眼を向けると、“ものすごく”特徴的な女性(なのか?)がやってきた。
まるで人を食べるんじゃないかというくらいの大きな口に、ラーメン鉢より大きそうな目。謎のロゴが入ったTシャツ。
その人(もはや人なのか)はすかさず質問をしてくる。
「あんた、名前なんて言うの?」
「みず」
「ミーチョね。あんたは今日からミーチョ。ラテンぽくていいじゃない」
僕ら初対面ですよね?
このなれなれしさ、怪しすぎる……。
こんな危ない人のもとなんか、さっさと離れよう。
でも次の言葉で、その場からスーッと去ろうとした僕の足は止まった。
「あんた、大学生活諦めていいの?」
全部の言葉に濁点がつくような話し方で聞いてくる。すごく聞き取りづらい。
でも、よくない。何のために頑張ったのか分からないじゃないか。
「僕は楽しい大学生活が送りたいです」
そういうとその人はにやりと笑った。
「よく言ったわね。じゃあ情報通のあたしが、“サークル情報の仕入れ方”を教えてあげる!」
〜創立者の銅像前〜
キ 「多くの大学には、その大学のサークルが作った新歓情報やサークル情報をまとめた冊子があるわよ。まず、それを手に入れなさい。それがあなたの聖書(バイブル)よ」
ミ「そんな便利なのがあるんですね!」
キ「使えるものは遠慮なく使いなさい。あ、当たり前だけどビラはもらうのよ」
ミ「でも声をかけてもらうのは恥ずかしいですよ(*_*)」
キ「だーいじょうぶよ! 胸の前に手を広げていれば、勝手に置いてくれるから!」
ミ「そんなもんですかね。SNSも使えますか?」
キ「あったりまえじゃないの〜。自分の大学と興味あるジャンルで検索すればたくさん出て来るわよ!」
ミ「なるほど」
キ「でも一番はね、同級生の友達からたくさん情報を仕入れることよ! 早いやつは入学前からSNSで先輩や同級生とつながっているわ。そのつながりを利用させてもらうのよ!」
ミ「そうは言っても僕は引っ込み思案ですし、無理ですよ」
キ「なに、肝っ玉小さいこと言ってんのよ! ほら、あそこに座っているやつ! あいつと友達になってきなさい!」
ミ「ええ!? 急には無理ですよ!」
第一、彼は多くの友人と談笑している。僕とは正反対の性格だろう。絶対無理だ。
「つべこべ言わないの! さあ、いきなさい」
背中をせっつかれ、そいつに声をかける。振り返ったのは、なんだかもっさい男だった。
To be continued…
「みんな! 私の名前はキモエよ。これから大学生活を再考に楽しむためのホットなトピックを紹介していくからよろしくね。では、今日の内容を簡単にまとめておくわ。まったく、最近の子は本当に効率良いんだから(ブツブツ)」
<サークル情報探しのコツまとめ>
1:サークルや新歓の情報が載っている冊子を手に入れる!
2:そこらじゅうで配っているビラはとりあえずゲット!
3:友達の輪から情報を集めよう!
「これでスタートダッシュは完璧ね! さ、次はサークルを決めていくわよ。まずはうまいこと友達を作れるかしら? 次回もお楽しみに!」